若者の田舎暮らし急増中!移住した若者10人に聞く「なぜ田舎?」


田舎に移住する若者が増えています。
 
これまでの田舎暮らしブームは定年後のゆったりした生活を求めての移住が主流でしたが、ここ数年の移住ムーブメントは、単身者や子育て世代などの「若者」にシフトしつつあります。
 
でも若者の移住には、超えなければならないハードルがいくつもあるはず。
仕事がない、同世代がいない、子供を通わせる学校がない、などなど。
 
そこで今回は、実際に田舎に移住した若者10人にインタビュー。
「なぜ田舎への移住を決意したのか?」
を教えてもらいました。
 
どんな若者が、どのような理由で移住したのか、
を知ると
自分も田舎に移住できるかどうか・・・
最もリアルなヒントになるはず!
 
それでは移住者のリアルボイス、じっくりご覧ください!

「こんなのもありなんだ!という衝撃」

田舎暮らし|移住者のリアルボイス|川野茜ポートレート

川野茜さん
移住元→先

東京都北区→熊本県宇城市→福岡県糸島市

移住年月

2013年2月(熊本)、2013年6月(福岡)

移住したときの家族構成

独身(26歳)

移住前のお仕事

飲食店勤務

移住後のお仕事

在宅事務、酒蔵勤務

田舎への移住を決意した理由を教えてください。

もともと田舎に行きたいと思っていた訳ではなくて、「パーマカルチャー」という考え方を知ったことがきっかけでした。
興味を持って調べていたら、熊本県に「サイハテ」というパーマカルチャーを実践するエコビレッジがあることがわかったのですが、そのタイミングで偶然、仕事の長期休暇がやって来たんです。
 
導かれるように訪問してみると・・・これまで常識と思っていたことを覆すような暮らしが営まれていて。
生きるためにはお金が必要だから稼がないと生きていけない、それも何かを犠牲にしてお金を稼がなければ、、と思っていたので、お金をほとんど介さずに自分たちで作る、というあり方に衝撃を受けました。
都会生まれ都会育ち、それまで都会を出たことがなかったから。
「こんなのもありなんだ!」って。笑
 
それから半年後には、仕事を辞めて移住していました。
 
もちろん震災のことも少しは気にしていましたが、直接の理由ではなかったですね。

「必死でがんばって見えて来たものが、求めていたものと違うんじゃないかと」

田舎暮らし|移住者のリアルボイス|坂本ポートレート

坂本大祐さん
移住元→先

和歌山県和歌山市→奈良県吉野郡東吉野村

移住年月

2006年春

移住したときの家族構成

独身(31歳)

移住前のお仕事

デザイナー(フリーランス)

移住後のお仕事

デザイナー(フリーランス)

田舎への移住を決意した理由を教えてください。

直接の理由は、病気です。
働き過ぎで体調を崩したところ、両親が一度帰ってこいと声をかけてくれました。
 
当時は、認められたい、稼げるようになりたい、という気持ちが強くてすごくがんばっていました。
でも、そうして必死でがんばって見えて来たものが、求めていたものと違うんじゃないかと、ちょうど気付き始めていたタイミングだったような気がします。
両親もそれを感じ取っていたのかもしれません。

「生活ありきのもの作りをしたい」

田舎暮らし|移住者のリアルボイス|福井夫妻ポートレート

photo: Mamoru Fukui
福井守さん、秋田(福井)友香さん
移住元→先

大阪府堺市→奈良県吉野郡東吉野村

移住した年月

2013年5月

移住したときの家族構成

守さん(28)、妻:友香さん(28)

移住前のお仕事

守さん:デザイナー、友香さん:服飾想創家(pssst,sir

移住後のお仕事

守さん:日常を彫刻したい人(mamorufukui.com)、友香さん:服飾想創家(pssst,sir

田舎への移住を決意した理由を教えてください。

(守さん)
一言で言えば「自分作りをしよう」ということかなと思います。
僕は生活の一部をデザインする仕事で、妻も生活の中で着る服を作っています。
でも、それを作る僕たち自身がちゃんとした生活をできているのかなって。笑
 
(友香さん)
以前から理想論だけではおかしいなとよく話していたんです。
やっぱり生活あっての仕事であり、生活ありきのもの作りをしたいなと。
ちゃんと自分たちでご飯を作って美味しいものを食べて、そういう気持ちのゆとりを持ってから生まれてくるものの方が説得力があると思うんです。
 
それから、人の作ったものを見てものを生み出すのではなくて、自然のものをみて生み出したいな、というのもあります。
 
(守さん)
ちゃんとした生活をして、例えば家に花を飾る余裕を持ったり、人を迎えられるような場所を先に作って、そこで自分の作品を見てもらいたいと思ったんです。
 
もちろん、以前から自然な環境に住みたかったというのもあります。
東吉野村には坂本さん(上記の坂本大祐さん)が先駆者としていたので、何度も遊びに来て、空気も水もきれいなこの環境に触れているうちに、だんだんに現実味を帯びて来て・・・というよいステップを踏めたんじゃないかなと思います。
それで、どうせ行くならなら若いうちかなということで移住に至りました。

「子供が生まれたことがきっかけ」

田舎暮らし|移住者のリアルボイス|菅野夫妻ポートレート

photo: Daimon Kanno
菅野大門さん、真理奈さん
移住元→先

大阪府堺市→奈良県吉野郡東吉野村

移住した年月

2013年12月

移住したときの家族構成

大門さん(30)、妻:真理奈さん(29)、息子:間太くん(6ヶ月)

移住前のお仕事

大門さん:プロダクトデザイナー(エーヨン)、真理奈さん:主婦

移住後のお仕事

大門さん:プロダクトデザイナー(エーヨン)、真理奈さん:主婦

田舎への移住を決意した理由を教えてください。

(大門さん)
子供が生まれたことをきっかけに、広い家がいいなあと思い始めていたところ、東吉野村で良い物件がみつかったので、移住を決めました。
 
友達が先に移住していましたし、自然環境が豊かで良い場所だと言うのは知っていましたけど、「田舎」という部分はそんなに意識していなかったんです。ただよいタイミングでいろいろ重なって。
 
(真理奈さん)
田舎で育った仲のよい友達がとってもおおらかな人柄なので、自分の子供も田舎で育てたいなと思っていました。
堺は工場が多くて空気が悪いので、子供ができたら環境の良いところに移ろうとは思っていました。

「都会で就職という選択肢はほとんどありませんでした」

田舎暮らし|移住者のリアルボイス|美津口ポートレート

美津口遼さん
移住元→先

神奈川県横浜市→岡山県美作市

移住年月

2014年4月

移住したときの家族構成

独身(22歳)

移住前のお仕事

大学生

移住後のお仕事

製材所勤務

田舎への移住を決意した理由を教えてください。

田舎の資源に可能性を感じたので。
 
大学3年くらいで既に「田舎」って思っていたので、都会で就職という選択肢はほとんどありませんでした。
就職サイトを見ても全然ピンと来ないわけです。笑
 
そうこうしているうちに、たまたま総務省のホームページで山村シェアハウスのことを知って、夏の山村ワーキングホリデーに参加しました。
その後何度か山村シェアハウスに通って、大学卒業と同時に引っ越してきました。

「シカがたくさんいるよと誘われて。笑」

田舎暮らし|移住者のリアルボイス|赤星賢太郎ポートレート

赤星賢太郎さん
移住元→先

岡山市→岡山県美作市

移住年月

2012年5月

移住したときの家族構成

独身(24歳)

移住前のお仕事

ウェブデザイナー(東京でウェブプロダクション勤務)

移住後のお仕事

ウェブデザイナー(独立)、DTP、映像制作、美作市地域おこし協力隊

田舎への移住を決意した理由を教えてください。

もともと田舎に興味はなかったんです。
 
当時やっていた仕事に疲れ、彼女と死に別れて・・・あまりにもつらいことが重なって、家にいたくなかったので、なるべくいろんなイベントに参加したり人に会うようにしていました。
 
そんな時に高校時代の恩師が、美作市地域おこし協力隊として梶並(岡山県北端の山村)で活動していた藤井君を紹介してくれまして。梶並にはシカがたくさんいるよと誘われて。笑 シカを狩りながら暮らすのも悪くないな、、という思いでふらっとこちらにやって来たのが始まりです。
 
それ以来、こちらに住み着いています。

「大学で学んできたことを田舎で実践したい」

田舎暮らし|移住者のリアルボイス|大熊ポートレート

大熊啓朗さん
移住元→先

神奈川県川崎市→岡山県美作市

移住年月

2014年4月

移住したときの家族構成

独身(23歳)

移住前のお仕事

PC販売店店員

移住後のお仕事

農作業補助など

田舎への移住を決意した理由を教えてください。

田舎での活動は、大学の研究の延長線上、という感じです。
 
大学で所属していた研究室が、地域のうどん屋をプロデュースしたり、過疎地域の町おこしを研究していたんです。
そんなこともあって、大学で学んできたことをいつかは田舎に行って実践したい、と思っていました。

「途上国から帰ったら都会に違和感を感じた」

“移住者のリアルボイス|小野留理花ポートレート"

小野留理花さん
移住元→先

東京都豊島区→岡山県美作市

移住した年月

2013年9月

移住したときの家族構成

独身(26歳)

移住前のお仕事

ホテルサービススタッフ、塾講師

移住後のお仕事

学童保育のお手伝いなどのアルバイト

田舎への移住を決意した理由を教えてください。

途上国に行く機会があったのですが、帰って来て元々働いていたホテルの仕事に戻ってみたら、いろいろなものがこれまでと違って感じられたんです。
バイキングでまだ食べられるものが大量に捨てられたり、注文された弁当のキャンセルがあったときなんか、200食全部廃棄しなければならなくて。なんだろうこの違いは?って。
 
そこで、ネパールで知り合った藤井さん(山村エンタープライズ代表)に相談したところ、「一度こっちに来てみたら?」と声をかけていただいたのがきっかけです。
 
それで梶並に来てみたら、景色がきれいで。
銀座と池袋で働いていたから、すごく新鮮でした。
 
景色だけじゃなく、電車の車掌さんがすごくやさしかったり、線路に降りちゃったおじいちゃんにみんなで声をかけていたり、高校生が荷物を持ってくれたり。
東京の駅ではみんないらいらしていたから。
 
数日滞在している間に、みんなに「来ちゃいなよ」って言われて。
直感的に「いいな」と思ったんです。
 
とりあえずここに住みながら、食べ物のありがたみとか、農薬のこととか、現場で本当のことを知って、
その上で、自分がどうするのか考えることにしました。

 


 

さて、「移住者のリアルボイス」いかがでしたか?
 
移住の理由は様々ですが、「ずっと田舎に憧れていて・・」みたいなパターンはほとんど見られず、ちょっとしたきっかけで、比較的身軽に移住に踏み切っている方が多いですね。
 
やはり、かつての「田舎暮らし」と、現代の若者たちの田舎移住ラッシュとではだいぶ趣が違ってきているいるようです。
 
先達たちのリアルな声を聞いて、田舎暮らしへの思いが一層強くなってしまったら!田舎への入り口として私たちが提供している「山村シェアハウス」(岡山県美作市)、ぜひのぞいてみてください。
 
また、田舎の資源や技術などを掘り起こして販売している「民芸新時代の直販店」もぜひご覧ください!


能登 大次

山村クリエイティブディレクター 1974年生、仙台出身。2005年、妻とともにプロダクトデザイングループ「能登夫妻」を立ち上げ、企画から生産まですべて自分で行うセルフプロダクションのスタイルで活動。 2012年4月、中国山地の山村「梶並」へ電撃移住。美作市地域おこし協力隊の一員として農・林・移住促進事業・地域商品開発・地元高校の講師などなど東奔西走しながら、妻と小さな娘とおてんば犬との田舎暮らしを満喫中。 >この著者の記事一覧

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